榎田基明
東山区でまちづくり運動に取り組んでいる住民団体「いいまちねっと東山」では、地域の課題やその対策を考えていくには現場を体感することが大切ということで「東山何でも探検隊」を開催しています。先日は、東大路と四条通を歩きました。
京都市は、都心や観光地での歩行環境を改善しようと、四条通(川端通~烏丸通間)と東大路(三条通~七条通間)で4車線の車道をを2車線に減らし歩道を拡幅する計画を進めています(四条通整備事業情報、「歩いて楽しい東大路」歩行空間創出事業)。東大路はまだ構想段階ですが、四条通は既に工事が始まり今秋の完成が予定されています。そこで四条通の状況を見ることで東大路の計画について住民の立場で考えようという趣旨です。
いいまちねっと東山「何でも探検隊」の旗
最初に東山五条から清水坂を京都市清水坂観光駐車場まで登りました。朝9時を少し回ったところでしたが既に観光バスが40数台が駐まっていました。気候が良いとはいえ観光客の出足は少し落着いた時期ですのでどんどんバスが入ってくるという状況ではありませんでしたが、狭い清水坂を歩行者を1mもない歩道に押し込めて大型バスが行き交うのはやはり良くありません。ただ坂道なので歩くのは高齢者にはかなりつらいので代替手段が要ります(代替のアイデアは土居靖範・他『LRTが京都を救う』をご覧下さい)。
早い時間帯から観光バスで一杯の京都市清水坂観光駐車場
清水坂に入ってくる観光バス
東大路は日曜日の午前でまだ空いている時間帯ということもあって渋滞よりも歩道の状態が話題になりました。松原通~五条通間では歩道が外側にひどく傾斜しています。参加した地元のおばあさんは「体調が悪い時はバランスが取りにくいので足を挫きそうになる」と言っていました。
なんでもこの区間は市電が走っていた時の敷石の上に舗装を重ねているので車道が異常に高くなっていて、松原通以北は敷石を取り払ったので比較的フラットになっているという話しもあります。真偽の程は確認が必要ですが…
意外に空いていた東大路通
大きく傾いた東大路の歩道(東山消防署付近の西側)
さて、祗園からはバスに乗り四条通の混雑を体験!のはずが予想に反して車が少なく、10分とかからず四条烏丸に到着。そこから四条通を祗園方向へ歩きました。
予想に反して車が少なかった四条通(大丸付近から西を望む)
予想に反して車が少なかった四条通(四条烏丸から東を望む)
広いところでは歩道の幅が倍になります。工事中で真ん中に柵が立っていたり路面が凸凹していたりしていましたが、歩きやすくなっていること明らかです。いつも混雑する新京極・寺町通との交差点などは大きく改善されそうです。
歩道の幅が倍になる新京極・寺町通の交差点付近
バス停は四条河原町と四条高倉の2カ所に統合されて3台ずつ停まれるようになります。ただ全区間で歩道が倍になるわけではなく、街区毎に1カ所ずつ停車スペースがつくられます。
1度に3台停まれるようになるバス停、現在は手前から乗り場・降り場・降り場になっている(大丸前の西行き)
街区毎に1ヵ所設置される停車スペース(富小路~柳馬場間の北側)
工事は進んでいますが、完成時、バス系統は変更されるのか? 停車スペースは荷捌き専用なのかマイカーも停まれるのか? タクシーの降車はどうなるのか?(乗り場は西行きは高島屋前、東行きは大丸前だけになります)通過だけのクルマを規制しないと混雑するのでは?等々、疑問や課題はたくさんありますが、歩行者優先に方向が変わりつつあることは歓迎です。
交通問題に取り組んできた京都の市民・住民運動は1980年代後半から四条通を歩行者と公共交通だけのトランジット・モールにすべきと提案してきました。クルマを走りにくくすることに対して日本では大きな抵抗がありますが、都心の自動車交通量の削減が都市再生の要であることは国内外の多くの例で実証されています。京都の市電を守る運動を経験した市民・住民運動はいち早くこのことに気づいていました。
また、沿道商店の組合である四条繁栄会も、実態調査で来客の圧倒的多数が電車やバスできていることがわかり、10年ほど前から歩行空間の拡大を検討してきました。その実現に向けたステップがようやく一つ進みそうです。
一方、四条通でも鴨川より東の祗園では歩道拡幅は行われません。観光客も多い地区ですのでいずれ歩行者空間を広げることが必要だと思います。
祗園の四条通(今回、歩道拡幅はされない)
石畳と町家の風情でたくさんの観光客が歩いているのにクルマが通れる花見小路(土日ぐらいは歩行者専用にできないものか?)
おまけ… プリンセスラインバスに今春導入された韓国製の電気バス(Do You Kyoto? も結構ですが、市バスも全車電気バスにする意気込みがほしい!)