榎田基明
福島県の下郷町・南会津町で開催される第39回全国町並みゼミへに参加するついでに会津若松に行きました。
会津は私の父方祖父の出身地です。私は祖父を全く知りませんが、会津には何か特別な思いがあります。
向かったのは会津若松市街地の北東にある飯盛山です。戊辰戦争の際、会津藩士子弟の少年達で組織された白虎隊が猪苗代湖畔に近い戸ノ口原の戦いで敗れて飯盛山まで撤退し、城下を眺めたところ城が炎上しているように見えたため(実際には城下が燃えている煙が立ちこめているだけで落城していなかった)、覚悟を決めて総勢20名が自刃したという場所です。戊辰戦争の悲劇のひとつとして会津の人びとは白虎隊に深い思いを抱くようで、お参りする人が絶えません。
飯盛山には「さざえ堂」という変わった建物があります。内部は二重らせん構造で、登りと下りで同じ通路を通らずに抜けられるようになっています。通路に沿って三十三観音などが置かれていて一巡りすれば巡礼したことになるというもので本来は「三匝堂(さんそうどう)」と呼ぶそうです。昔は出入り自由でしたが、重要文化財に指定され拝観料が必要になっていました。
飯盛山にはボランティアガイドがおられ、声をかけられて話をしていたところ、祖父と同郷の会津若松近くの旧門田村の方で話しが弾みました。
門田村の御山の名産に「みしらず柿」があります。大ぶりの渋柿を収穫した後、ヘタに焼酎を付けて箱詰めします。焼酎で渋が抜けるので開封日が決まっています。私の実家では毎年、買っていますが、ガイドの方によると今年は春先の霜で大不作だそうです。
本日の宿は会津若松の奥座敷・東山温泉です。
以前は会社などの宴会旅行で行くところというイメージでしたが、だいぶ雰囲気が変わっていました。選んだのは国の登録有形文化財第1号という老舗旅館「向瀧」。館内の様子は旅館のホームページ(mukaitaki.com)に詳しく載っています。
会津藩からゆだねられたという老舗旅館ですが、意外にも若い女将さんの下、若いスタッフばかりでした。お客様にゆっくりとくつろいでもらいたいということから、適度に距離をおいた接客、郷土料理をベースにした懐石料理、少しぬめりのあるお湯と気持ちの良い宿でした。